2018年にMVPを受賞したクリスチャン・イエリッチが極度の打撃不振に陥っている。
2020年3月にミルウォーキー・ブルワーズと9年総額2億15000万ドルという大型契約を結び、さらなる活躍を期待されてイエリッチだったが、2020年以降は怪我の影響もあり全盛期とかけ離れた低調なパフォーマンスを見せている。
そこで、イエリッチの現状と2022年の展望を考察する。
イエリッチという天才
イエリッチは2011年のMLBドラフトでマイアミ・マーリンズから1位指名を受けて契約した。
2013年にMLBデビューを果たすと、以降は非凡な打撃センスを駆使し、MLB屈指の選手に成長した。
そして、ブルワーズに移籍した2018年にその才能はさらに開花した。
2018年は147試合に出場し、打率.326、187安打、36本塁打、出塁率.402、長打率.598という成績を残し、首位打者とMVPを受賞。
翌年の2019年は130試合に出場し、打率.329、161安打、44本塁打、出塁率.429、長打率.671という前年を上回る成績を残し、首位打者を獲得。しかし、シーズン途中に自打球により右膝膝蓋骨が骨折するというアクシデントに見舞われ戦線を離脱した。
2020年は58試合に出場し、打率.205、41安打、12本塁打。
2021年は117試合に出場し、打率.248、99安打、9本塁打。
直近2シーズンは数年前にMVPを受賞した選手とは思えない成績となっており、イエリッチに対して懐疑的な目が向けられている。
30歳のイエリッチはガラスの天才として野球人生をおえてしまうのか。
怪我による打撃不振
数年前までMLBトップクラスの打者であったイエリッチは、なぜこれほど成績を落としてしまっているのか。
最も考えられる原因は、度重なる怪我だ。
怪我による影響
前述したとおり、イエリッチは2019年に自打球により右膝を骨折し戦線を離脱。
2019年のイエリッチは開幕から絶好調で2年連続のMVP受賞はほぼ確実だった。
そんなイエリッチが骨折した途端、極度の打撃不振に陥っているため、打撃不振と怪我は何らかの関連性があるように思う。
また、イエリッチは慢性的な腰痛に悩まされており、若手時代からたびたび故障者リストに入っていた。
では、怪我の影響はあったのかデータを用いて考察していく。
パワーが落ちた?
まずの2019年から2021年までの打球速度を比較する。
表から分かる通り、平均打球速度とバレル率が2019年以降、年々低下している。
本塁打数も、44本、12本、9本と減少傾向にあり、パワーが落ちていることは明白だ。
パワーが低下している原因として最も考えられるのは、やはり怪我だ。右膝の骨折だけでなく慢性的な腰痛などにより、かばいながらプレーしているのではないだろうか。
2022年は期待できる?
直近2シーズンは打撃不振に陥っているイエリッチだが、2022年は活躍できるのだろうか。
結論から言うと、「昨年以上の活躍は出来るがMVP級の活躍は出来ない」と思う。
このように考える理由はいくつかあるので以下で解説する。
ストライクゾーンに投げてくれる
イエリッチの調子が上がらない為、相手投手はストライクゾーンに投げる確率が高くなっている。
2019年以降のストライクゾーン率は、41.4%(2019年)、42.4%(2020年)、47.6%(2021年)と年々増加している。
したがって、イエリッチにとってはチャンスボールが増えるため、打つチャンスは増える。
積極性がない
ストライクゾーン率が高まったと前述したが、裏を返すとイエリッチの積極性が無くなったということもできる。
ストライクゾーンの球をスイングした確率を見てみると、69.8%(2019年)、57.7%(2020年)、67.1%(2021年)であった。
絶不調だった2020年は積極性が無かったが、2019年はストライクゾーンの球を積極的にスイングしていた。
2021年の数値は2019年のものと近い数値になっているため、積極性を取り戻してきたのではないだうか。
怪我が心配
イエリッチに関して最も心配なのは怪我だ。
慢性的な腰痛やプレー中の怪我を考慮すると、150試合に出場するのは期待できないが、130試合ほどで3割近い数字を残すことは期待できる。
おそらく、2018年、2019年のような全盛期に戻ることは難しいだろうが、これからも活躍できるポテンシャルを秘めている。
まとめ
イエリッチは2018年にMVPを受賞したスーパースターであるが、怪我の影響もあり打撃不振に陥っている。
ただ、まだ30歳という年齢であり、今後さらなる飛躍を遂げる可能性がある。そのきっかけとして2022年は非常に大事なとしてであり、何としても結果を残したい。
イエリッチは殻を破ることが出来るのか、2022年シーズンに注目だ。